四字熟語で小話⑦ 五里霧中
自らの発想力のなさを嘆いた結果、四字熟語から思い浮かぶ事や物、小説風のものまで思い浮かんだことを書いていく。第7回
今回はイメージを共有したいという感じで。若干ホラー。
『五里霧中』
自分の手も朧げにしか見えない。
真っ白な霧に包まれて身動きがとれない。
ぼうっとした光が周囲にあり、白い粒子が取り巻いている。
手を動かすと靄が動く。すかさず靄に覆われる。
地面の感覚だけが確かだった。
いや。
それすらもすでに怪しい。
自分が立っている地面がどんなで、先に何があるのか、確かだと確認できる要素が自分の中に見当たらない。
いつ晴れる。
先に進める。
焦りと恐怖が支配する。
真っ白なキャンバスを埋めるように、「最悪」な想像が頭にいくつも描かれる。
とにかく、進まなくては。
足を前に出し、左に右に探りながら、手を掲げて周囲を探りながら一歩。
体躯を前に。
靄が動く。すかさず靄に覆われる。
何もなかったかのように真っ白な霧に包まれる。
いつまで続く。
いつから霧の中にいた。
確かだと確認できる要素が自分の中に見当たらない。
自分はなんだ。
確かだと確認できる要素が自分の中に見当たらない。
全ては真っ白な霧に包まれている。
おわり