カッパの小話練習帳

カッパが発想力訓練のため小話など作っています。

四字熟語で小話⑨ 異体同心

自らの発想力のなさを嘆いた結果、四字熟語から思い浮かぶ事や物、小説風のものまで思い浮かんだことを書いていく。第9回
今回は家族のお話。

 『異体同心』

ボクの家族は、いつもボクを介して会話する。

ボクは構ってもらえるから嬉しいけれど、時々不思議だ。

 

リューク、ごはんだよ」

お母さんが呼ぶ声。
ボクはすぐお母さんの元に駆けていく。

その後にお父さんがゆっくり食卓に着く。

「海斗はまだ帰ってないのか」
お父さんがつぶやく。

「友達の所じゃない」
料理を並べながらお母さんがつぶやく。
おもむろにボクを撫でる。

 

ボクの友達の海斗くんは、高校生だ。

最近帰りが遅かったり、帰って来ないことが多くなった。

帰ってきたらいっぱい遊んでくれるから、ボクは大好き。

でも、何だか苦しそうでボクは心配。

昔の海斗くんと違う人みたいに感じる。

だから、ボクが海斗くんの相談を聞いてあげる。

たまに、みんなが顔を合わせたとき、お父さんもお母さんも海斗くんも声が大きくて怖い。

そんな後には決まって、みんな一人になったらボクを撫でる。

お父さんは、一人でビールを飲みながらテレビを見ている時。

お母さんは、お昼ごはんの後一息ついている時。

海斗くんは、みんなが寝た後。

みんなボクに家族の相談をする。

 

お互い思い合っているのに、素直になれないなんてボクは不思議だ。

みんなの寂しさをボクは解ってる。

大丈夫だよ。

もう少ししたら、きっと上手くいく。

ボクは解っているよ。

 

 おわり