四字熟語で小話① 春愁秋思
最近、いやかなり以前から、自分の発想力の乏しさに気づかぬふりをしていた。
でも、憧れるのは発想力豊で話が面白い人。
何とかして私も鍛えたい!
思うに、①引き出しが少ない②引き出しをいざという時引き出せない
発想力のなさはこれらが要因ではという結論に到った。
色々補いながらも、あとは実践あるのみ。
という経緯で、四字熟語から思い浮かぶ事や物、小説風のものまで思い浮かんだことを書いていくことにしたい。
こんな駄文を世間にさらしていいのか・・・?とはいつも思うのだが、それを考えたら何もできなくなってしまう。
お付き合いくださる方がいればよいのだが...
『春愁秋思』
梅から桜、ハナミズキ
季節はこんなに若葉萌え、冬の眠りから目覚めようとしているのに、私の頭と身体は重だるい。
というのも、3年いた慣れ親しんだ部署からこの春異動になったからだ。
以前の部署は、人間関係も良好で私自身働きやすくて、確固とした居場所があったと感じていた。
辞令が下りた部署は、同僚と「あそこだけは行きたくないね」と冗談半分で言っていたところ。
上司もなんだか適当で、為か残業も多いらしい。
引き継ぎに行った時も、皆疲れている様子で先が思いやられた。
なぜ私が?というのが率直な気持ちだった。
こういう気分が塞いだ時の対処法。
スイーツ。
春は特に苺や抹茶の新商品が沢山店頭に並ぶから心躍る。
スーパーのスイーツコーナーを見分していると、華やかな新商品の幅をとった陳列の端に一列、地味によもぎ大福が鎮座していた。
途端、懐かしい香りが脳内を吹き抜ける。
気付けば手に取っていた。
買い物を終え、帰宅する。
すぐにお茶を淹れ、よもぎ大福の包装を剥く。
一口。
よもぎの若くて青い、少し苦みを感じる香りが鼻腔いっぱいに広がる。
不意に祖母とよもぎを摘んで大福を作った子供の時の記憶が呼び起こされる。
「あんたの笑顔は顔全部やな。こっちもつられるわ」と言った祖母の笑顔。
私の笑顔を褒めてくれた祖母も、もういない。
昔みたいに笑ったのいつだっけ。
よもぎ大福を口に含んだまま、鏡に向かって満面の笑顔を作ってみる。
大人のぎこちない自分が映って、可笑しくて吹き出してしまった。
あーあ、やーめた。
新しい環境に慣れる前から斜に構えている自分にも可笑しくなる。
明日から自分らしい笑顔で過ごせますように。
おわり