カッパの小話練習帳

カッパが発想力訓練のため小話など作っています。

四字熟語で小話③ 水月鏡花-1

自らの発想力のなさを嘆いた結果、四字熟語から思い浮かぶ事や物、小説風のものまで思い浮かんだことを書いていく。第3回

今回は、昔話(?)ごった煮パロディ。救いはありません。ご了承ください。

色んな解釈ができるかも…

※不快な描写があることを先に記載しておきます。

 『水月鏡花』

【1】

虹の根本には宝物が眠っているという。

男が宝物を掘り当てようと、虹がよく現れると噂の山村へ向かった。

途中、山間に小さな沼があった。

腹が空いた男は、カニでもおらんかと持っていたシャベルで底の泥をさらってみる。

手が滑って、シャベルを沼に落としてしまった。

シャベルは沼底へ、みるみる沈んでいった。

と、水面が光り、沼から美しい女神が姿を現したではありませんか。

男はびっくり、腰抜かす。

「あなたが落としたのは、金のシャベルですか?銀のシャベルですか?」

「両方です」

男は即答した。

「ライアー!」

女神は怒って沼の中に消えてしまった。

 

宝物を掘るためのシャベルを失ってしまった男は、山をさまよう。

突然目の前にやまんばが現れて、

「うまそうな男じゃ、とって食ってやる」

言うや否や、強い力で締め上げられ帯でぐるぐる巻きにされ、やまんばの家であるあばら家に拉致された。

押し入れに入れられた男。

やまんばはザァリザァリ、包丁を研ぐ。

万事休す。

辛うじて動かせる手で、ポケットを探る。

スマホがあるのを確認する。

男は、

「やまんば、俺はどうやって食われるんだ」

「切り刻んで鍋で煮て食うのよ」

「世の中にはもっとおいしいものや調理法があるのに、それを知らずに可哀そうなことだ」

「なに!?それはどんなものだ?言ってみろ」

「言葉では説明できない、手を動かせるようにしてくれたら見せてやれるのだが」

やまんばが押し入れから男を出し、拘束を緩める。

スマホからは、やまんばがこれまで見たこともないような食べ物の映像や調理方法が美しく流れる。

「これはどうやったら手に入る?どうやったら作れる?」

案の定、やまんばは興味津々。

「帯をほどいてくれたら、取ってきてやろう」

自由になった男は、逃げる逃げる。全速力で走った。

しばらくして男の甘言だと気づいたやまんばは、怒髪天の形相で追ってきた。

やまんばの脚力に及ぶはずもなく、男は切られ、やまんばの腹の中へ。

 

地獄に落ちた男、亡者が蠢く苛烈な地獄の業火に焼かれて過ごしていた。

それを見ていたお釈迦様。

男がかつて、プラスチックごみを拾って捨てていたことを思い出した。

お釈迦様は男が拾ったストローやプラスチックの袋などをつなげて、天から垂らした。

男はそれを見上げたが、昇ろうとしない。

どうしたことかと不思議がるお釈迦様。

男は、きれいなもの好き、偏った潔癖であり、素手では到底プラスチックごみを触ることはできなかったのだ。

プラスチックごみを拾っていたのも、目の前に美しくないものがあることが許せず、手袋をし完全防備で臨んでのことだった。

男は、そのまま地獄の責苦に苛まれましたとさ。

 

 おわり